hanaブログ

個人的な備忘的なブログです。

着床前検査の実施容認をうけての雑感

着床前検査の実施容認がニュースになっていた。

日産婦が着床前検査の実施を容認する方針とのこと。

 

www.nikkei.com

 

私自身は不妊治療は経験していないが、経験した人の話を聞きかじっただけでも、子を授かりたいという願いの切実さはひしひしと伝わるし、いっぽうで倫理的な問題として障害の排除につながりうるという点も無視できない。

この界隈はニュースを聞くたびに悩んでしまう。

 

まず「着床前診断」「着床前検査」「出生前診断」の名称が似ていて個人的に混乱したのだが、先の日経記事によれば「着床前検査」は「着床前診断」のうちの一つに分類されるよう。

出生前診断」は妊娠後の検査で着床前(=妊娠成立前)の検査や診断とは別モノ。

niptjapan.com


出生前診断が「障害差別につながる」という意見に対しては、障害があったときどう育てるか社会のキャパシティが広がれば解決できると思っているのだけれど、着床前検査だと一部の病気を「異常」として排除する構図は覆せない。

でも産みたくて産みたくてどうしようもないときに、少しでも可能性を上げる技術があるならそれに頼る選択も否定できない。

実施容認に対して、賛成も反対もできない。

誰にも意見は求められていないので賛否をはっきりできなくても全く困らないのだが、いのちにどう向き合うか自分のなかで解消できないのでもやもやする。

 

 

1つ気になったのが、着床前検査が出産の可能性を上げるのかという点。

たとえばこちらの記事。

news.yahoo.co.jp

「妊娠率7割」の数字がぱっと飛び込んできてかなり可能性が上がる印象だが、きちんと読むと「60パーセント以上で受精卵に染色体異常が認められ子宮に戻すことができなかった」「受精卵を子宮に戻すことができた事例では妊娠率をあげることができた」とある。7割はあくまで条件付きでの7割。

着床前検査をしても、必ず妊娠出産できるわけではないし、可能性がどの程度上がるのかもきちんと検証が必要そう。

mainichi.jp

こちらではさらに詳しく、

・検査をうけた女性全体の出産率は17%

・一般的な体外受精での出産率は約2割

と書かれている。

 

検査の対象が、過去に2回以上体外受精で妊娠できなかったり流産したりした人に絞られているため、一般的な出産率と直接比較はできないが、「妊娠率7割」と「出産率17%」、いずれも事実とはいえ印象がかなり異なる。

というか私レベルでは、前者は「産めるじゃん!」後者は「産めないじゃん。。。」と真逆の印象をもった。

 

 

研究結果にいちゃもんをつけたいわけではなく、むしろ専門の方々が日夜研究されていることには敬意しかない。

ただ、不妊治療界隈はかかるコスト(費用だけでなく命の選別みたいな倫理面も含めて)に対してどうしたって成功率が見合わないように思う。

 

産みたいときに産めて、すべての人が主体的な意思に沿った選択をして生きていければいいのだけれど、120点満点で三方よしの解決策がないときに、個人として社会としてどういう取捨選択をするのかとか、絶対に譲れないものって何なのだろうとか、そういうことを考えた。

 

(ちなみに目下、家庭と仕事どっちをとるの!?みたいなことで個人として悩んでおり、現実のレベルでもなにも決められない自分がいる)